Document#1.4 24時間制文明との時差規定
1.4.-1 地球自転との乖離許容
27時間多時間群文明における時間体系は、地球の自転周期および天文的昼夜との一致を必須条件としない。 文明時計は、人類および共在する非ヒト知性が継続的に活動・休息・協調を行うための制度的装置として定義される。
このため、文明上の「昼」「夜」「日付」は物理的な太陽位置とは独立して運用される。 自然環境との不整合は異常ではなく、文明設計において明示的に許容された状態である。
環境制御(光量、色温度、温度変化など)は、文明時間に従属して調整され、物理的昼夜との差異を個体が直接感知しない設計が前提とされる。
1.4.-2 境界領域の時間合意
文明時計と外部参照時間が交差する領域を「境界領域」と定義する。 これには、物理的には同一空間でありながら、異なる時間体系が並存する生活圏、業務圏、通信圏が含まれる。
境界領域では、単一の時間を強制せず、複数の時間表現を併記する合意モデルを採用する。 どの時間体系を優先するかは、行為の性質(医療、交通、私的行動など)によって切り替えられる。
時間の合意形成は、個人間の調整ではなく、システムおよび非ヒト知性による仲介を基本とする。 これにより、時間解釈の負荷を個体に集中させない。
1.4.-3 公式時間の扱い
本文明における「公式時間」は、文明時計におけるEPOCH起点からの経過秒数を唯一の正規表現とする。 これは、文明内部および外部との通信・記録・検証において、時間を一義的かつ非曖昧に扱うための数理的基盤である。
公式時間は、人間が日常的に参照する時刻表示とは切り離され、法的文書、条約、契約、監査ログ、医療・事故記録など、 再現性と検証可能性を要する用途に限定して用いられる。この経過秒数は、文明時計の内部実装における最下層の共通基準である。
外部文明との交信においては、この公式時間を基準として、必要に応じて外部参照時間への変換を行う。 変換は必ず公式時間を経由して実施され、文明内部の多様な時間表現が直接外部に露出することはない。
文明内部において、公式時間は通常不可視であり、個体の生活リズムや社会的合意の基準とはならない。 公式時間はあくまで文明の背骨として存在し、その上に多層的な時間表現が構築される。